女の子のからだのメカニズム
-
からだの中には100種類以上のホルモンがあり、健康維持のためにさまざまな働きをしています。月経はもちろん、女性のからだは女性ホルモンによってコントロールされており、体調もホルモンバランスによって大きく影響を受けます。お子さまがからだの不調を訴えたときのためにも、女性ホルモンの働きをきちんと知っておきましょう。
女性ホルモンはどこで作られるの?
お子さまの率直な疑問には答えにくいところですが、女性ホルモンは卵巣で作られます。脳の視床下部が下垂体に女性ホルモンを出すように命令し、それによって卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という女性ホルモンが分泌されます。
視床下部は血液から出されたサインによりホルモンを出す決断をしています。脳には血液の中のホルモン状況を読み取る能力があり、それに基づいて命令を出しています。ホルモンを出すという指令は、視床下部⇒下垂体⇒卵巣の順に伝達されます。これは、視床下部が一方的に指令を出すだけでなく、女性ホルモンが多い/少ない場合には卵巣からも脳に情報が伝達されます。このように、視床下部と卵巣が連携しながら、ホルモンの量を調節を行っています。
体調が左右される!? 2つの女性ホルモン
女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類のホルモンがあります。卵胞ホルモンは女性らしさを作るホルモンで、思春期から分泌が盛んになります。このホルモンにより、思春期の女の子のからだが女性らしくなっていくのです。お子さまのからだの変化も自然なことであることを伝えましょう。
黄体ホルモンは妊娠に備えるためのものです。受精卵が子宮内膜に着床しやすいように、子宮内膜のコンディションを整える働きをします。また、精神的に不安定になったり、イライラしたりするのもこのホルモンの影響であることも少なくありません。
卵胞ホルモン (エストロゲン) |
黄体ホルモン (プロゲステロン) |
---|---|
・肌の潤いを保つ ・血管を強くする ・骨を強くする ・髪にツヤを与える ・記憶力を高める ・善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす ・代謝を促す ・肥満を予防する(皮下脂肪の再生を抑える) |
・子宮内膜や子宮筋の働きを調節する ・乳腺を発育させる ・血糖値を正常にする ・体内の水分量を整える ・利尿作用がある ・食欲を促す ・眠くなる ・イライラする、憂鬱になる |
このように、2種類の女性ホルモンによって女性らしいからだになっていきます。うれしい働きをするものがある反面、必ずしもそうでない場合もあります。大人になって月経周期が安定している場合には対処しやすいですが、思春期には不安定な状態が続きます。
からだもこころも自分ではコントロールできずに戸惑うこともあるので、やさしく見守って、必要なときには手を差し伸べてください。
女性の内性器はこのようになっています
性器は、外から見える外性器とからだの中にある内性器にわかれています。女性ホルモンの働きにより子宮が発達していきます。
からだの機能をしっかり教えるには、イメージを使って説明するとよりお子さまの理解が深まります。
❶子宮体部
赤ちゃんを育てる部屋。子宮の内側にある子宮内膜は、赤ちゃんが安心して眠れるようにおふとんの役目をします。
❷子宮頸部
子宮の下部と膣をつないでいる部分。
❸卵管
子宮から左右にのび、卵巣からおくり出されてきた卵子を受けとめて、受精卵ができれば子宮に送ります。
❹卵巣
左右にひとつずつあり「生殖巣」とも呼ばれます。卵子を蓄え成長させたり、脳から命令をうけ、卵胞ホルモン・黄体ホルモンがここから分泌されます。
❺卵子
新しい命のもと。精子と出会った卵子は受精卵になります。
❻腟
子宮の出口から、からだの外へつながっており、赤ちゃんはこの管を通って生まれます。生理のときに出る経血の通り道。
おうちの方へのポイント!
- お子さまがからだの不調を訴えたときのために、女性のからだをコントロールしている女性ホルモンについて、きちんと働きを知っておきましょう。
- 女性ホルモンの働きによって、からだもこころも変わっていきます。思春期の不安定な状態のときに、お子さまをやさしくサポートしましょう。
- 外からは見えない内性器については、どんな器官があってどんな働きをするのかを知っておくことが大切です。